株式会社 藤和ハウス様は、東京都内を中心に全14店舗を展開し、創業45年の実績を誇る総合不動産業企業。住まいを「買うとき」「売るとき」「建てるとき」「直すとき」「借りるとき」・・。住まいに関わるすべての分野に幅広く事業展開をしており、住まいのトータルプランナーとして顧客の求める生活スタイルの実現に尽力されています。
株式会社藤和ハウス 仲介事業部 ネット推進 部長代理 田口洋一様には、3回に分けてお話を伺っていきます。
2回目の今回は、「THETA 360.biz」の導入から約1年半が経った現在の運用状況と効果、具体的な活用方法を取材いたしました。
「バーチャルツアー」の運用が14店舗で浸透!施策とポイントとは?
前回の取材から1年近くが経過いたしましたが、THETA 360.bizの運用状況がどのように変化したかをお聞かせください。
第一回はこちら
【第1回】 わずか1ヶ月で50件の360°パノラマ・VRツアーを公開!その研修内容とは?弊社は約1年半前に「THETA 360.biz」の導入を決め、物件内見の疑似体験ができる「バーチャルツアー」を自社WEBサイト上に公開しました。
当初から、各営業店舗で営業社員がTHETAで撮影し、ツアーの制作を行うという運用体制を取っていましたが、今ではそれが社内でさらに深く浸透しています。
前回取材をお受けした頃は、各店舗に対してマニュアルや研修会を実施し、運用方法を指導している段階でした。
現在は、実際の運用を通して、営業担当者ひとりひとりが「THETA 360.biz」の有用性を実感したことで、より積極的に活用しようという姿勢が表れてきているように感じます。
目に見える効果として、「THETA 360.biz」の導入前から比べて、当初はホームページ閲覧者のサイトでの滞在時間が120%ほど、今では長いもので150%にまで増加しました。
実は、コロナウイルスの感染拡大を受けて、弊社でも2ヶ月間、土日以外は休業という措置取っていたのですが、休業中にもかかわらずオンラインから通常の2倍ものお問い合わせを頂いたのは予想外でした。
オンライン上で、内見と全く同じように物件の中を見て回れる、というVRならではのメリットが、この状況下では特に活かされているようです。
各営業店舗での「バーチャルツアー」の制作・運用がさらに浸透したとのことですが、具体的な状況と、運用のポイントについてお聞かせください。
導入した当初と比べて、各営業店舗で積極的に撮影・ツアー制作が行われるようになりました。
必ずツアーを制作することになっている自社物件以外にも、各店舗で売り出したい担当物件がある時は、現場の判断で各自進んで撮影を行ってくれていますね。
スキルが上がってくると、ツアーの中にクローゼット内部の画像等を追加する、「アノテーション」という機能を活用している営業担当者もいます。
内見の際のお客様の導線や部屋の中の撮影位置・角度まで考えて、より見やすいツアーを意識して撮影をしたり、どのように売りたいかによって撮影の仕方を変えてみたりと、積極的な姿勢が見られるようになったのは嬉しい変化です。
以前は複数棟から構成されている物件は1棟のみ撮影していましたが、現在では全棟の撮影を行うなど、掲載物件も増えてきています。
このように社内で「バーチャルツアー」が浸透したのは、導入当初にしっかりとマニュアルの作りこみを行ったことも大きいですが、研修や会議においても、「バーチャルツアー」を運用した成功事例などは意識して話すようにしています。なかなか売れなかった物件が、ツアーを公開することでお客様の反響を呼び、契約に繋がったなどの具体的な事例を伝えることで、取り組みへのモチベーションアップに役立ったと思います。
また、社内の営業担当者の間での口コミの効果も大きかったと思います。「意外と簡単に作れる」「こんな反響があった」など、社内で情報交換を行う事で、各店舗でも積極的に取り組みやすくなったと感じています。
「バーチャルツアー」は、最初は難しそうに感じてしまいますが、撮影に約30分、制作自体には10分程度しかかかりません。
「難しそうだな…」という最初の一歩を乗り越えるのが、1つの大きなポイントになってくると思います。そのために、マニュアルだけではなく、実際に電話で質問に答えたりして、運用のサポートを行いました。
今では店舗に新しいスタッフが入社した際は、営業担当者同士で撮影・制作方法のレクチャーを行っています。
スマホを使い10分で作成!RICOH THETA 360.bizモバイル版アプリ
ツアー作成のほとんどをモバイルアプリで行うことが出来るのも、スムーズに運用が行えている理由の一つです。
現地でアプリを開き、THETAと連携して撮影を行い、そのままツアーを作成し、PCで最終チェックを行い、後は発行したURLを埋め込むだけなので、専門的な知識がなくても制作が出来てしまいます。
アプリの中でできる操作がアップデートによって増えたり、新機能が追加されていくので、制作作業自体をより簡単にしていきたいという思いはあります。
一方で、新機能をどのように社内で周知・共有していくかは、今後の課題と言えます。新機能のリリースや仕様の変更がすぐに社内で共有されることで、今後の活用の幅もさらに広がってくると考えています。
ページ滞在時間が1.5倍に!お客様からも喜びの声が続出
制作した「バーチャルツアー」の活用状況と、実際の効果についてもお聞かせください。
制作したツアーは、自社WEBサイトに埋め込むのはもちろん、紙媒体の広告にQRコードを印刷してアクセスできるようにしたり、オンラインで資料請求を頂いたお客様にURLを送ったりして、なるべくお客様にご覧いただけるよう活用しています。
紙媒体からの自社WEBサイトへのアクセスは、通常はやはり読み込む手間があるため少ないのですが、「バーチャルツアー」を掲載するようになってからはアクセス数やお問い合わせ数が1.2倍に増えました。
お客様からも、「見やすい」といった声を依然として多く頂いています。一度内見にいらっしゃった後でも、ご帰宅後に再検討される際、「あの部屋のこの部分はどうなっていたっけ?」といった疑問点をすぐに確認でき、家具の置き場所などもイメージできる。コンセントの位置などの細かい部分まで手軽にチェックできます。画像だけではどうしてもカバーできない部分を、「バーチャルツアー」がカバーしてくれています。
また、最近では、居住中物件でも家具を消すなどの画像処理を行って「バーチャルツアー」を制作するなど、活用の幅も広がってきています。
居住中の物件はお部屋の写真を撮影し、掲載することが難しかったのですが、家具を消すなどの画像処理によってWeb上に写真を掲載して、閲覧していただけるようになりました。
また、土地や建設前の更地などでも、THETAでバーチャルツアーを撮影して自社WEBサイトに掲載し始めています。将来的には、建物が建った後の撮影も行って、建設前との比較などもできるよう検討をしています。
コロナ渦で休業中にもかかわらず、通常の2倍以上のお問い合わせが!
コロナウイルスの感染拡大〜緊急事態宣言を受けて約2ヶ月間、土日以外は休業※をされたとのことでしたが、休業期間のお問い合わせ状況などについてお聞かせください。
休業期間中は当然対面での内見のご予約等は減りましたが、逆に2020年5月は、オンラインで過去最高数のお問い合わせを頂きました。通常の2倍以上ものお問い合わせを頂いたため、お時間をいただくケースもあったほどでした。有難いことに、2020年6月も依然として多くのお問い合わせを頂く状況が継続しています。
来店しなくても物件を内見できる「バーチャルツアー」はこのような場面でも役立つと感じました。
※緊急事態宣言中、約2ヶ月間の休業。休業期間中は営業店舗のみ土・日だけ営業
時代の変化に合わせて進化を続けるTHETA 360.biz
今回のコロナウイルスの感染拡大以前から、不動産業界では、オンライン上での物件情報や写真などの情報を充実させる動きが進んでいました。
大手物件情報ポータルサイトでも、お客様の求める情報量をさらに充実させるために、掲載可能な画像数を軒並み増やしてきています。
掲載可能な画像数が増えていくと、画像素材の豊富さや質が他社物件との差別化の鍵となります。このように、掲載画像を充実させることが急務となってきているタイミングで、「手動画像切り出し」「AI画像切り出し」機能が追加されたのは大変有難いことでした。
「バーチャルツアー」以外にも、弊社では一眼レフカメラを使って写真の撮影も行っているのですが、取り忘れた写真がある時や、ある角度の写真を追加したい時など、360°画像の一部を切り出し、スチール写真と同様の画像をダウンロードすることが出来るので、とても重宝しています。
最近追加された「AI超解像」機能も好評です。以前は、力を入れたい物件に関しては、画像の補正を行って明るさの調整などを行っていたのですが、現在は、画像をアップロードするだけで、AIが自動的にノイズ除去や明るさ補正を行い、高精細な解像感のある画像にしてくれるので、補正の工程が不要になりました。
曇りや雨の日に撮影をする場合は、晴れるまで待っていることもできないので、雨の多い季節は特に役立ちそうですね。
今後はTHETA360.bizを使い、どのような展開をしていきたいと考えていらっしゃいますか。
社内で「THETA 360.biz」の運用が浸透するにつれ、当初は想定していなかった様々な場面での活用の可能性が見えてきました。
さらに、今回のコロナウイルスのような非常時においても、オンライン上に顧客を惹きつける力を持つコンテンツを蓄えていく事は、弊社にとって大変重要なものであると再認識しました。
今後は、新築一戸建てはもちろんですが、中古一戸建て・中古マンション・土地などのバーチャルツアー掲載数を増やし、更に幅広く様々な活用をしていける様にしていきたいと考えております。