株式会社藤和ハウス
【第3回】作成したバーチャルツアーは3年間で1,000件以上!他社と大きく差をつけたバーチャルツアーの運用方法とは
株式会社 藤和ハウス様は、東京都内を中心に全13店舗を展開し、創業47年の実績を誇る総合不動産業企業。住まいを「買うとき」「売るとき」「建てるとき」「直すとき」「借りるとき」・・・。住まいに関わるすべての分野に幅広く事業展開をしており、住まいのトータルプランナーとして顧客の求める生活スタイルの実現に尽力されています。
株式会社藤和ハウス 仲介事業部 ネット推進 部長代理 田口洋一様には、3回に分けてお話を伺っていきました。最終回の今回は、導入から約3年が経った現在の運用状況と新たな活用方法、今後の展望についてお伺いしました
導入以降、ページ閲覧数は2倍以上の水準を維持。バーチャルツアーを自社の強みとして定着させた秘訣とは
貴社が「THETA 360.biz」を導入されてから約3年が経ちましたが、現在の運用状況についてお聞かせください
弊社は約3年前に「THETA 360.biz」の導入を決め、バーチャルツアーを自社WEBサイト上に公開し始めました。導入当初から、各店舗で営業社員がTHETAで撮影し、ツアーの制作を行うという運用体制を取っていましたが、これまでに作成したバーチャルツアーの件数は1,000件以上にのぼります。
バーチャルツアーの導入後、コロナ禍に入ったこともあり、自社WEBサイトのページ閲覧数は2倍以上に増加し、その水準を現在も維持し続けています。新型コロナウイルスの影響もあり、物件の供給ペースを成約数が上回る状況が続いたことで、物件数自体はここ3年間でピーク時の約3分の1ほどに減っているなかでページ閲覧数が2倍に増加したことは驚きでした。
バーチャルツアーの作成件数は1,000件以上にのぼるとのことですが、そこまで運用を根付かせることができたポイントをお聞かせください。
導入当初にマニュアルの作りこみを行ったことなどは前回お話しましたが、やはり導入後に成功事例を積極的に社内で発信するようにしたことは大きかったと思います。各店舗の営業社員がみずからTHETAで撮影・ツアー制作をするという体制を取っていますので、撮影や制作が比較的得意な者がいる店舗の方が比較的普及は進みます。
そういった店舗の活用状況や成功事例を意識的に取り上げて、部署内外問わず全体会議などで共有を行いました。それにより社内で導入をしたいという意欲が高まり、普及が進んだことはもちろん、今ではリフォームや分譲など、他部署での活用も始まりました。
営業社員の方がツアーの撮影・制作を行っているとのことですが、お忙しい中でどのように工夫して撮影を行われているのでしょうか。
時間が限られた中で効率よく運用を行うため、現場での待機時間を利用して撮影を行ったり、物件の内見のついでに撮影をするなどのケースも多いです。決まった時間の中で通常業務をこなし、さらに売上を上げていかなければいけないとなると、いかに効率よく撮影時間を確保するかがポイントになってきます。
THETA360.bizの場合、現場で撮影から制作まで一気通貫で行うことも可能です。2階建て戸建てのパノラマ撮影に約30分程度(撮影箇所20箇所)、バーチャルツアーの制作に10分程度しかかからないので、隙間時間を活用した撮影・制作が容易にできるというのも、大きなポイントですね。
他事業にも運用が浸透!バーチャルツアーを活用した新たな試み
第2回目の取材時から1年半ほどお時間が空いておりますが、その間に新たな取り組みなどは始められましたでしょうか。
はい。土地での活用や、リフォームやリノベーションなど他事業での活用も進んできています。
リフォーム事業では、施工事例として施工前、施工中、施工後の3段階の様子を360度画像でお見せできるようにするなどして活用しています。買い取った物件をリフォームして再販する、いわゆるリノベーション物件でも、バーチャルツアーを制作するようになりました。
また、リノベーション物件の場合、スケルトン状態の物件をお客様にバーチャルツアーで見せてしまうというところにもポイントがあります。スケルトン状態の物件を見せることで、「この会社はここまでのリノベーションを行える実力があるんだな」「作業中でも整理整頓がきちんとできているな」などと理解を深めていただくことにもつながります。
中古物件の売買事業では、販売中の物件にまだ売主のお客様が住んでいらっしゃることなどが多いので、今までは写真を撮ることもなかなかできませんでした。居住中の物件では、内見にいらっしゃるお客様も気を遣ってしまい、満足に内部を見ることができない場合が多いですが、バーチャルツアーがあれば落ち着いて見ることができますので、非常に役立っています。
競合他社と比較すると、自社WEBサイトにバーチャルツアーを埋め込んで活用している会社がまだまだ少ないため、売主様からも非常によい評判を頂いております。居住中の物件の媒介を他社大手に依頼していたお客様が、物件がなかなか売れずに困っていらしたところ、当社でバーチャルツアーを作成してポータルサイト等に掲載をした後すぐにご成約となり、お客様に大変喜ばれたというケースもありました。
バーチャルツアーは、物件購入を検討されているお客様の購入動機につながることはもちろんですが、それ以上にご売却を任せていただける売主様へのアピールにもなっています。自社WEBサイトに導入をしたことで、業者や競合他社からも注目され始めているのも肌で感じています。
土地の売買でも、バーチャルツアーを導入しています。360度画像により、まるでその土地に実際に立っているかのように周囲を見渡せるので、オンラインからのお問い合わせの増加につながっています。
隣接する建物との距離感がつかめるのも、バーチャルツアーならではですね。土地は物件と違ってお見せできる写真素材が少ないので、そういった中で土地や周辺環境をバーチャルツアーにして掲載できるのは、コンテンツとして非常に有効だと思います。
また、オンラインでの接客や、内見後の追客といった営業活動にも活用が進んでいます。売買の場合、実際に物件を見ずに購入をされるお客様はいらっしゃらないですが、現地見学や内見前の段階でいくつかの物件をオンライン上のバーチャルツアーで確認され、その中で気に入った物件だけを実際に見学・内覧されるというケースはあります。
オンラインでも、物件の内部をお客様と一緒に見ながら営業ができるのは、バーチャルツアーならではですね。内見後の追客では、内見に来て下さったお客様に後からバーチャルツアーをお送りし、検討の際に役立てていただいています。実際の内見で見逃してしまった部分や、細部をもう一度確認されたい時などは、何度も現地に足を運ぶ手間が省けますよね。
1,000件以上ものバーチャルツアーを活かしたWEBサイト作りを
「THETA 360.biz」を活用した今後の展望などがございましたらお聞かせください。
弊社のWEBサイトは現在リニューアルに取り組んでいるのですが、バーチャルツアー特集を組んだり、物件ページでもバーチャルツアーがより目立つようにするなど、バーチャルツアーを前面に出した作りにする予定です。先程触れたリフォームやリノベーション事業の部分でも、施工事例を平面写真ではなく360度画像で掲載することで、同業他社との差別化になります。
また、いずれは物件そのものだけでなく、近隣の公園等をバーチャルツアーにして掲載するという試みも考えています。周辺施設をそこまでしっかりと自社WEBサイト上で掲載している企業はまだまだ少ないので、実験的に導入してみる価値はあると思っています。
バーチャルツアー導入への熱意が導いた成功
「THETA 360.biz」導入からの約3年を振り返られて、感じられたことなどがございましたらお聞かせください。
THETA 360.bizを導入してからもう3年になりますが、導入当初は反対の声もありました。営業社員側からすると撮影や制作は手間になるのではないかという意見もありましたし、会社としても、そこまで高額ではないとはいえ360度カメラが初期投資として必要になります。手間と費用をかけても結局活用できずに終わるのではないか、と懸念する声もありましたが、どうしても導入したいという思いから提案を通すことができました。それでも導入当初は、なかなか撮影が進まない店舗もあったりと、社内で浸透をさせるのは大変でした。
これは本当に偶然ですが、導入後にたまたまコロナ禍に入り、物件数が減ってきたり、営業の短縮を余儀なくされたりした中で、バーチャルツアーをいち早く導入していたことでWEBサイトのページ閲覧数やお問い合わせ数を落とさずにしっかりと増やすことができたのは大きかったと思います。お問い合わせやお客様からの反響の大きさから、各店舗でも積極的に導入を進めてくれるようになり、今ではほとんどの店舗がバーチャルツアーを活用してくれるようになっています。
一方で、最近はバーチャルツアーも一般的に普及しだして、同業他社でも導入企業が増えてきた中で、他社との差別化になるような活用の方法は考えていきたいなとも感じています。今回お話したリフォームや他事業での活用もそうですが、社内での積極的な事例共有や意見交換の中に、そういった活用の広がりのヒントがあるのではないかと思っています。
ありがとうございます。
導入から約3年がたち、社内への浸透が進み、「THETA 360.biz」を多方面に活用されていらっしゃることが分かりました。
お客様のニーズを考え、お客様の声を聞いて柔軟に取り入れ、活用するという熱心な取り組みが、ページ閲覧数にも、顧客満足度にも繋がっているのですね。
田口様には、3回にわたってインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。
これからも、「THETA 360.biz」を多方面でご活用いただければ幸いです。