株式会社フロンティア技研
空室物件がない地域で活路を見いだした「不動産屋っぽくない不動産屋」のWeb活用戦略とは?
株式会社フロンティア技研は山梨県富士吉田市にある不動産会社です。富士吉田市は富士山のふもとで「富士急ハイランド」や「河口湖」などが近くにある観光地ですが、人口は減少を続けており空室物件も少ない地域です。
空き物件が少ない上に居住者が退去する前は内見をすることができないこともあり、現地での内見が難しいこのエリアでどのようにして、お客様が求める情報を提供してきたのか。
フロンティア技研でWebプロモーションを担当し、インターネット不動産業者最大のイベント「@dream of the year」で全国1位を獲得したチーフの三浦 勝 様にお話を伺いました。
THETA 360.Bizを使い始めたきっかけ
三浦様がTHETA 360.bizを知ったきっかけについて教えていただけますでしょうか。
Webに力を入れ始めたきっかけからお話しますが、元々は私自身が引っ越しをすることが多く、部屋探しに苦労していたのがきっかけでした。従来の不動産屋はWebでの情報公開に力を入れていないことも多く、連絡しても「まず来店してください」の一点張り。店に足を運び、気になる物件があっても、物件名はもちろん物件の住所も教えてくれませんでした。写真が1~2枚しかないこともザラで実際に内見しないと分からず、行ってみるとイメージが異なり無駄な内見ばかりしていました。
そういう自身の経験から、現地の内見を行わないでも部屋を決められる、いわゆる「不動産屋っぽくない不動産屋」を目指してきました。特に意識したのは良い所だけでなく、悪い所もちゃんと載せて正しい情報を提供するということです。
そのためには部屋の模様を360度の綺麗な画質で見渡せるだけでなく、ストリートビューのように室内を移動できるサービスが必要だと考え、調べる中で出会ったのがTHETA 360.bizでした。最初は難しいイメージがありましたが、360度カメラのRICOH THETA自体が小型で持ち運びが楽、そしてTHETA 360.bizの画像登録も直感的でわかりやすく、すぐに導入を決めました。
これにより、いつでもどこでも現地に行かなくても仮想内見ができるようになりました。なお、直近1年間(2021年7月~2022年6月)の『現地を内見してから申込みが入る確率』は95.09%と高い水準を出しており、キャンセルはほぼありません。
申し込み率を高める工夫とその効果
内見してからの申し込み率が高い理由はどこにあると考えていますか?
数十枚の写真、動画、ツアー等で物件の良い所と悪い所まですべての情報を提供しているところにあると思います。逆に言えばそこまで記載しているので、実際に内見して断る理由がないとも言えます。写真でイメージを掴み、動画で雰囲気を感じ、THETA 360.bizで仮想内見するといったところでしょうか。弊社で紹介する物件はほぼバーチャルビュー化しています。
この地域は空室物件が少ないとのことでしたが、どのようにして物件を紹介しているのでしょうか?
仰る通り、この地域では空室が少なく、退去前のお部屋への申込みが多いです。退去前の物件は内見できませんが、その物件(同タイプ)の360度画像があれば大体のイメージが沸きます。当社では「不動産賃貸図鑑」という、募集有無にかかわらずこのエリアの物件情報をチェックすることができるコンテンツがあり、そこでもTHETA 360.bizで仮想内見できるので、まだ退去予定が出ていない物件の予約が入ることもあります。
THETA 360.bizを導入してどのくらいの効果が出ていますか?
申し込みの件数、成約率が上がっているのはもちろんですが、最もはっきりと効果が出たのはWebの閲覧数です。THETA 360.biz導入前の2015年と比較すると2021年のページ閲覧数は19.6倍となっており、導入効果は大きかったと言えると思います。
さらなるWEB活用の工夫
その他に工夫している活用法はありますでしょうか?
工夫の一つ目は「Googleストリートビュー」の活用です。
THETA 360.bizに登録した物件の外観のパノラマには、その物件の前の道のGoogleストリートビューをアノテーション機能を使ってリンクを付けています。これにより、インドアビューから世界をつなげることができました。
また、Googleストリートビューに対応していない別荘地では、THETA 360.bizでストリートビューを作成し、Googleストリートビューのある道まで繋げました。これにより土地勘のないお客様も物件周辺をイメージしやすくなりました。
工夫の二つ目は「VRゴーグル」の活用です。VR元年と言われた2016年にVRを導入し、
来店者にVRゴーグルをプレゼントすることにしました。物件図面にはTHETA 360.bizのQRコードも掲載しているので、ご案内後に再度チェックしたい場合や、内見しなかった物件もいつでもVRで仮想内見できるようにしました。
当時VRは珍しいこともあってか、来店者されたお客様からの紹介も増えていきました。
(2017年度から2018年度の紹介数は129%)
工夫の三つ目は「店内バーチャルツアー」の活用です。
不動産会社に行くのはハードルが高いと感じる方が少しでも気軽に来店していただけるよう、事前に店内やスタッフの雰囲気を知ってもらおうと思い、当社の店内バーチャルツアーを作成しました。バーチャルツアー内のアノテーションではスタッフの写真もアップし紹介しています。スタッフの趣味も掲載しているので、お客様からその話題を持ち出していただくこともあり話がはずんだこともありました。
<フロンティア技研様 店内バーチャルツアー>
そして、これは工夫というわけではないですが、2007年から1年365日定休日も関係なく約15年毎日ブログを更新しています。不動産屋としてのハードルを下げ、親しみやすさを出すために、360度画像なども取り入れてブログ、SNSでファン作りを行っています。ブログへの1日のアクセスは平均3,000PVを超えています。
今後に向けて
今後の展望をお聞かせください。
10年20年前は写真が5枚もあれば反響がありましたが、現在は写真5枚載せただけで反響が来たら奇跡です。これからは写真や動画、そして360度バーチャルツアーがあって当たり前の時代になると思います。20年前に現在を予想できなかったように10年20年後はさらに変化していくと思うので、360度バーチャルツアーの進化も期待しながら、当社もデジタルとアナログを大切にし『進化+継続』していければと思います。
貴重なお話をいただきどうもありがとうございました。
(参考)フロンティア技研様ブログ https://www.v-frontier.com/wordpress/