株式会社荒谷建設コンサルタント

ICTとBIM/CIMデータを組み合わせた「デジタル境界確認」

株式会社荒谷建設コンサルタント様は、中国・四国地方を拠点に測量・地質調査・土木設計を手掛ける総合建設コンサルタントです。大正5年の創業以来、100年にわたって社会資本整備に従事してきました。

「人間と自然を考える」を企業テーマとしており、道路などの公共のインフラ整備の中で地域の人々の暮らしと安全を守るということを意識されています。

各種事業の用地測量の中では、国や自治体が現在推し進めている「デジタルを活用した境界確認」を、ICTやBIM/CIMデータ等のデジタル技術を用いて安全かつ効率的に行っています。

どのような取組をしてきたのか、その効果、課題などの詳細を総合技術監理部 DX推進室 副室長の越智様に伺いました。

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THETA 360.biz導入前の課題、使い始めたきっかけ

荒谷建設コンサルタント様が、THETA 360.bizを導入する前に持っていた課題を教えてください。

 

従来の「境界確認」では、各種事業の用地測量の中で地権者が現地に赴き土地の境界を確認していました。しかし昨今では地権者の高齢化が進み、山林部等の急峻な場所での現地確認が困難になっていました。

また、デジカメで撮影した画像だけだと現地の状況を人に伝えづらく、撮影枚数も多くなってしまうため、情報把握のしやすさと効率化の両面から考えて、THETA360.bizを導入するに至りました。

 

 

THETA 360.biz導入にあたっての懸念はありましたか。

 

360度カメラが普及し始めてきたので、そこまでの懸念はなかったです。またストリートビューの便利さを感じていたので、見ている方向がわかる360度ビューでマップと合わせて説明することで、国や自治体の方にも現地の状況を伝えやすくなりました。

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THETA 360.bizと活用する際の工夫について

THETA 360.bizのツアー作成について工夫していることを教えてください。 

まず、現地撮影を行う前の準備が重要です。境界線がどこなのか、事前にポールを立てて準備をするのですが境界線が見えない場合は伐採が必要で、通常より広めに刈る必要があります。

 

(境界線撮影の様子)

 

見る方に現地に近い状況を感じていただくために、レンズは目線の位置の高さに合わせるよう、一脚の長さを調整します。

また、パッと見で境界線がどこかわかる工夫もしています。まず境界線上にビニールテープを張り境界線がどこかを明確にします。そして、山の勾配がきつい場所ではそのまま撮影すると360度写真を開いた時の初期画面が地面に向いてしまうため、傾斜に合わせてカメラを傾けて撮影し、境界線に張ったビニールテープの位置が分かるようにしました。

 

 

撮影後のツアー作成時に工夫をしているところは、影の補正を行うことと、山間部の広い場所の場合は、ツアーを分けて作成をしていることです。

 

 

他の技術との組み合わせや、連動した活用法などはありますか?

 

BIM/CIMデータと呼ばれるいわゆる3次元モデルのデータと組み合わせて、地権者の方に説明をしています。事前にGIS(地理情報システム)などの地図データや、三次元データを用意し、そこに境界情報を重ねたデータを用意しておきます。

 

(三次元モデルに境界情報を重ねたデータの例)

 

地権者の方に説明を行う際には、モニターを二つ用意して、一つでは先ほどの境界情報がわかる三次元データを、もう一つのモニターではTHETA 360.bizのツアーで作成した360度画像を表示しておきます。

二つの画像を組み合わせて説明することで、よりリアルに現地の境界線の状況を感じてもらうことができるようになります。

 

(モニターを二つ並べて地権者の方へ説明する様子)

 

また、現地の状況を感じてもらう工夫の一つとしてVRデバイスも活用しています。THETAやドローンカメラなどで撮影した静止画・動画コンテンツを用意しておき、VRビューで見せることで特に初めて見る方には、ワクワク感を感じてもらいながら現地の状況を説明できるので良い効果が出ています。

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THETA 360.bizで期待した効果とその反響

THETA 360.bizの導入で得られた効果についてお聞かせください。 

 

撮影する際に事前準備が必要という点では負荷が増えたのですが、それを加味してもメリットが大きいと感じています。
事前準備やツアー作成の時間は増えましたが、境界確認がデジタル境界確認になったことで、従来5~7日かかっていた作業が2~3日に縮減されました。また、遠隔地の安全な場所でパソコンを用いて確認でき、天候に左右されないメリットもあり、地権者の9割以上の方から高評価を得られています。結果として、住民サービスの向上に繋がったという大きな効果がありました。

 

また、何かしらの理由で事後確認が必要になるケースもあります。その時に、地権者が全員再集合できない場合もあるので、デジタルデータを使って遠隔で事後確認ができることも大きなメリットです。

新しいものを取り入れてチャレンジしていこうという取り組みをしている中で、THETA 360.bizは非常にわかりやすいツールです。アピールポイントになっており、デジタルを活用した好事例として、整備局からの表彰もいただいています。

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今後の展開とTHETAに期待すること

今後の荒谷建設コンサルタント様の展開についてお聞かせください。 

 

LiDARデータとの連動を行い、データを一元化することを目標としています。現地をデジタル化するという大きな課題の中で、地上の記録はTHETAで良いのですが、それ以外の空間データとどう組み合わせていくか。ドローンカメラの活用もしていますが、最新の技術と組み合わせて、よりわかりやすい現地のデジタルデータを作ることが出来ればよいと思っています。

 

今後のTHETAのソリューションに期待することはありますか? 

 

オフラインでの活用ができるとありがたいです。成果物として納品することができるようになることがまず一つ。また現地確認の中で山間部など立ち入りがしにくい場所については、山の麓でデジタル境界確認をするケースがあります。ただ、そのような僻地ではインターネットに繋がらないケースも多いので、オフラインデータでの活用ができるようになれば非常にありがたいと感じています。

 

貴重なお話をいただきどうもありがとうございました。

 

(参考動画)荒谷建設コンサルタント様 / デジタル境界確認の取り組み紹介

 

 

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